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 無我夢中で必死に食らいついた。初球152キロストレートを右前に運ぶと、清田育宏外野手の胸の奥からこみ上げるものがあった。一塁ベース上から打席を見る。そこにはこの日が引退試合となっていた井口資仁内野手が立っていた。9月24日のファイターズ戦(ZOZOマリンスタジアム)。2点ビハインドの九回無死。同点に追い付かないと試合は終わる。それは清田にとって1年目のオフから自主トレを共にするなど、公私ともにかわいがってもらった大先輩と一緒にプレーをする最後の時間となることを意味していた。だから代打を告げられると、次打者の井口につなげようと祈るような思いでバットを振り、打球は右前に抜けていった。泣いてはいけない。分かってはいても涙腺は緩んだ。一塁ベース上で目をくちゃくちゃに腫らしながらリードをとった。その直後、とんでもないドラマが起こった。

 「ボクは悔いが残らないようにと必死に打って、とにかく必死に走った。だから打球がフェンスを越えたかどうかを見ていない。抜けると分かって、とにかくホームにかえらないといけないと思って走っていました」







 井口のバックスクリーン右に飛び込む起死回生の同点本塁打。1号本塁打は1997年のデビュー戦。そして引退試合で日本通算251号の試合を振り出しに戻す劇的一撃。スタンドは総立ちで異様な雰囲気に包まれた。清田はホームに到達すると感激で全身が震えるのを感じた。今、ダイヤモンドを走っていたのは自分と大先輩の2人だけ。そして今、その人をホームに迎え入れようとしている。そう考えると、もう涙は止まらなかった。とめどなくこぼれた。時間が止まってほしいと真剣に思った。ホーム付近で待っているとダイヤモンドを一周した男は笑っていた。ハイタッチをする。しかし迎え入れる言葉を掛けられないほど泣く。それを見て井口はまた笑った。

 「おいおい。打席で一塁を見ると、キヨ(清田)が泣いていたから困ったよ。こっちも感情的になってしまいそうだった。なるべく見ないようにしようと集中するのに大変だったぞ」

 そう言って大ベテランは自分のために必死につないで、同点弾のお膳立てをしてくれた後輩をねぎらった。




 





2000: 管理人ひとこと 2017/09/28(木) 14:06:06.26.01.net
清田ほんまずっと泣いてたなw
ずっと自主トレ一緒にやってたし、マネジメント事務所も一緒やし
チームメイトの中でも人一倍こみあげるものあったやろな

↓の記事にあったけど、清田は井口さん引退する事をオフの時点で知ってたんやな

清田育宏がそれを知ったのは、井口が引退表明した今年6月から約半年前の2017年1月。今春の自主トレの時期だった。

 これから戦いの準備を始める時期だけに、井口はその場で多くを語らなかった。清田も「そうですか……」とだけ答えた。8年に渡る付き合いから、井口がその先に何を伝えたいのかを理解した。


井口さんの意志を受け継いで来年こそは一昨年ぐらいの活躍見せてほしいな

 



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